Japanese Short Story

Japanese Short Story 34

弱虫よわむしの猟りょう師しと木きこり 一人の猟師が、ライオンの足跡を探していました。すると木こりがいたので、「もしもし、この辺でライオンの足跡を見ませんでしたか?ライオンのねぐらはどの辺か知りませんか?」と、聞きました。木こりは、「ああ、知っているよ。今から俺と一緒に来れば、ライオンを見せてやるよ」と、答えました。すると猟師は真っ青になって、怖さに歯をガチガチさせて言いました。「い、い、いえ、なに、私が探しているのは、ライオンの足跡なんで、その、本当のライオンなんて、とんでもない」このお話は、口先では強がりを言うくせに、実は弱虫の人を見分ける方法を教えています。 Vocabulary List: With Furigana: 一人ひとりの猟りょう師しが、ライオンの足跡あしあとを探さがしていました。 すると木きこりがいたので、 「もしもし、この辺へんでライオンの足跡あしあとを見みませんでしたか? ライオンのねぐらはどの辺へんか知しりませんか?」 と、聞ききました。 木きこりは、 「ああ、知しっているよ。 今いまから俺おれと一緒いっしょに来くれば、ライオンを見みせてやるよ」 と、答こたえました。 すると猟りょう師しは真まっ青さおになって、 怖こわさに歯はをガチガチさせて言いいました。 「い、い、いえ、なに、私わたしが探さがしているのは、 ライオンの足跡あしあとなんで、その、本当ほんとうのライオンなんて、とんでもない」 このお話はなしは、口先くちさきでは強つよがりを言いうくせに、 実じつは弱虫よわむしの人ひとを見み分わける方法ほうほうを教おしえています。

Japanese Short Story 33

怪我けがをしたオオカミ イヌたちに噛まれて弱ったオオカミが、地面に倒れていました。動けないのでエサを探しに行くことができないでいると、ヒツジの姿が見えました。「おーい、ヒツジさん。すみませんが、近くの川から水を汲んできてください。食べ物は自分で見つけますから」オオカミが頼みますと、ヒツジは頭を振って言いました。「でもねえ、私が飲み物を持っていけば、あなたの食べ物になるのは、この私じゃありませんか」このお話は、体裁の良いことを言って騙そうとする悪者をたとえています。 Vocabulary List: With Furigana: イヌたちに噛かまれて弱よわったオオカミが、地じ面めんに倒たおれていました。 動うごけないのでエサを探さがしに行いくことができないでいると、 ヒツジの姿すがたが見みえました。 「おーい、ヒツジさん。すみませんが、 近ちかくの川かわから水みずを汲くんできてください。 食たべ物ものは自じ分ぶんで見みつけますから」 オオカミが頼たのみますと、ヒツジは頭あたまを振ふって言いいました。 「でもねえ、私わたしが飲のみ物ものを持もっていけば、 あなたの食たべ物ものになるのは、この私わたしじゃありませんか」 このお話はなしは、体裁ていさいの良よいことを言いって騙だまそうとする悪者わるものをたとえています。

Japanese Short Story 32

カシの木きとゼウス カシの木たちが、ゼウスの神に不平を言いました。「私たちは、何のために生まれてくるのかわかりません。なぜかと言うと、他のどんな木よりも先に、私たちはおのでどんどん切り倒されてしまうのですから」すると、ゼウスの神は、こう答えました。「お前たちは、自分で自分を不幸にしているのだぞ。もしお前たちがおのの柄になったり、家を建てる材木や、畑を耕す道具の材料にならなければ、おので切り倒されることはないのだ」ゼウスの説明もなんですが、このお話は、自分で自分を不幸にするようなことをしていながら、人にグチや文句を言う人に聞かせる話だそうです。 Vocabulary List: With Furigana: カシの木きたちが、ゼウスの神かみに不ふ平へいを言いいました。 「私わたしたちは、何なにのために生うまれてくるのかわかりません。 なぜかと言いうと、他ほかのどんな木きよりも先さきに、 私わたしたちはおのでどんどん切きり倒たおされてしまうのですから」 すると、ゼウスの神かみは、こう答こたえました。 「お前まえたちは、自じ分ぶんで自じ分ぶんを不ふ幸こうにしているのだぞ。 もしお前まえたちがおのの柄えになったり、家うちを建たてる材木ざいもくや、 畑はたけを耕たがやす道どう具ぐの材ざい料りょうにならなければ、 おので切きり倒たおされることはないのだ」 ゼウスの説明せつめいもなんですが、このお話はなしは、 自じ分ぶんで自じ分ぶんを不ふ幸こうにするようなことをしていながら、 人ひとにグチや文もん句くを言いう人ひとに聞きかせる話はなしだそうです。

Japanese Short Story 31

片かた目めのシカ 片方の目しか見えないシカが、海の近くへ出て草を食べ始めました。シカは見える目を陸のほうに、見えない目を海のほうに向くようにして草を食べることにしました。陸は猟師が来るかもしれないので、よく見ていなければなりませんが、海のほうは猟師が来ないので安心と思ったのです。ところが、近くを船で航海していた人たちが、海辺にいるシカを見つけて船の上から狙い打ちして、シカを殺してしまいました。息を引き取る間際に、シカはつぶやきました。「本当に私は運が悪い。安心だと思っていた海のほうが危険だったなんて」このように、私たちの予想がはずれることは少なくありません。嫌だと思っていることが役に立ったり、良いと思ったことが害になることもあるのです。 Vocabulary List: With Furigana: 片方かたほうの目めしか見みえないシカが、海うみの近ちかくへ出でて草くさを食たべ始はじめました。 シカは見みえる目めを陸りくのほうに、 見みえない目めを海うみのほうに向むくようにして草くさを食たべることにしました。 陸りくは猟りょう師しが来くるかもしれないので、 よく見みていなければなりませんが、 海うみのほうは猟りょう師しが来こないので安心あんしんと思おもったのです。 ところが、近ちかくを船ふねで航海こうかいしていた人ひとたちが、 海うみ辺べにいるシカを見みつけて船ふねの上うえから狙ねらい打うちして、 シカを殺ころしてしまいました。 息いきを引ひき取とる間ま際ぎわに、シカはつぶやきました。 「本当ほんとうに私わたしは運うんが悪わるい。安心あんしんだと思おもっていた海うみのほうが危き険けんだったなんて」 このように、私わたしたちの予よ想そうがはずれることは少すくなくありません。 嫌いやだと思おもっていることが役やくに立たったり、 良よいと思おもったことが害がいになることもあるのです。

Japanese Short Story 30

アルキュオン アルキュオンは伝説の鳥で、仲間を作らず、一人ぼっちで海に浮いているのが好きだと言われています。言い伝えでは、この鳥は人間に捕まらないように、岸の岩のかげに巣を作るとのことです。ある時、一羽のアルキュオンがタマゴを産むために、岬に登ってきました。見ると、大きな岩が海のほうへ突き出ています。アルキュオンはその岩かげに巣を作り、タマゴをかえしました。ところが、ある日、お母さんアルキュオンがエサを探している間に、突然激しい風が高波を巻き起こしました。波は巣のところまで押し寄せ、巣を水で覆い尽くして、ひな鳥たちをおぼれ死にさせてしまいました。お母さんアルキュオンは帰ってきて、留守中の恐ろしい出来事を知ると、こう叫びました。「ああ、なんて私は不幸なのだろう。陸は危ないけれど、海なら安全だと思って海を住みかにしているのに、その海が陸よりもひどい裏切りをするなんて」これと同じように、人間でも敵を警戒するあまり、味方のように見えるけれども、実は敵よりもずっと恐ろしい人に助けを求めてしまうことがあるのです。 Vocabulary List: With Furigana: アルキュオンは伝説でんせつの鳥とりで、仲なか間まを作つくらず、 一人ひとりぼっちで海うみに浮ういているのが好すきだと言いわれています。 言いい伝つたえでは、この鳥とりは人間にんげんに捕つかまらないように、 岸きしの岩いわのかげに巣すを作つくるとのことです。 ある時とき、一いち羽わのアルキュオンがタマゴを産うむために、岬みさきに登のぼってきました。 見みると、大おおきな岩いわが海うみのほうへ突つき出でています。 アルキュオンはその岩いわかげに巣すを作つくり、タマゴをかえしました。 ところが、ある日ひ、お母かあさんアルキュオンがエサを探さがしている間あいだに、 突然とつぜん激はげしい風かぜが高波たかなみを巻まき起おこしました。 波なみは巣すのところまで押おし寄よせ、巣すを水みずで覆おおい尽つくして、 ひな鳥どりたちをおぼれ死しにさせてしまいました。 お母かあさんアルキュオンは帰かえってきて、 留守るす中ちゅうの恐おそろしい出来でき事ごとを知しると、こう叫さけびました。 「ああ、なんて私わたしは不ふ幸こうなのだろう。 陸りくは危あぶないけれど、海うみなら安全あんぜんだと思おもって海うみを住すみかにしているのに、 その海うみが陸りくよりもひどい裏うら切ぎりをするなんて」 これと同おなじように、人間にんげんでも敵てきを警戒けいかいするあまり、 味み方かたのように見みえるけれども、 実じつは敵てきよりもずっと恐おそろしい人ひとに助たすけを求もとめてしまうことがあるのです。

Japanese Short Story 29

お百姓ひゃくしょうと運命うんめいの女め神がみ お百姓が畑を耕している時に、大きな金の塊を見つけました。これは大地の女神がめぐんでくださったものに違いないと思ったお百姓は、毎日、大地の女神に感謝を捧げていました。ところが、ある日、運命の女神が現れてこう言いました。「どうしてあなたは、あれを大地の女神の贈り物だと決め込んでいるのですか?わたくしがせっかくあなたをお金持ちにしてあげようと思って、めぐんであげたものなのに。そのくせひょっとして、あの金の塊を誰かに盗られるようなことでもあれば、その時はきっとあなたは、このわたくし、運命の女神の仕業だと思って、私を恨むに決まっているでしょう」このお話は、自分に良いことをしてくれた人が誰なのかをよく見極めて、ちゃんとその人に恩返しをしなければならないということを教えています。 Vocabulary List: With Furigana: お百姓ひゃくしょうが畑はたけを耕たがやしている時ときに、大おおきな金きんの塊かたまりを見みつけました。 これは大だい地ちの女め神がみがめぐんでくださったものに違ちがいないと思おもったお百姓ひゃくしょうは、 毎日まいにち、大だい地ちの女め神がみに感謝かんしゃを捧ささげていました。 ところが、ある日ひ、運命うんめいの女め神がみが現あらわれてこう言いいました。 「どうしてあなたは、あれを大だい地ちの女め神がみの贈おくり物ものだと決きめ込こんでいるのですか? わたくしがせっかくあなたをお金かね持もちにしてあげようと思おもって、 めぐんであげたものなのに。 そのくせひょっとして、あの金きんの塊かたまりを誰だれかに盗とられるようなことでもあれば、 その時ときはきっとあなたは、このわたくし、運命うんめいの女め神がみの仕し業わざだと思おもって、 私わたしを恨うらむに決きまっているでしょう」 このお話はなしは、自じ分ぶんに良よいことをしてくれた人ひとが誰だれなのかをよく見み極きわめて、 ちゃんとその人ひとに恩返おんがえしをしなければならないということを教おしえています。

Japanese Short Story 28

コウモリとイタチ コウモリが地面に落ちて、イタチに捕まってしまいました。殺されるに決まっていると思ったコウモリは、「どうか、命だけは助けてください」と、頼みました。イタチは、「ダメだね。あんたを放すわけにはいかないよ。なぜって、私は生まれつき、鳥は全部敵だと思っているからね」 「おや、よく見てください。私は鳥ではありません。ネズミですよ」コウモリは翼をたたむと、ネズミによく似ています。 こうしてコウモリは、うまく命拾いしました。 しばらくして、このコウモリはまた地面に落ちて、別のイタチに捕まってしまいました。 「お願いです。私を食い殺さないでください」 「嫌だよ。私はネズミというネズミが、全部嫌いだから」。コウモリは、翼を広げると、「おや、私はネズミなんかではありませんよ。ほら、ご覧の通り、鳥ですよ」 コウモリは、今度もまた、放してもらいました。こうしてコウモリは、名前を変えることで二度も命拾いをしたのです。 このお話のように、危険をまぬがれるためには、その時その時のなりゆきによって、色々と工夫することが大切です。 Vocabulary List: With Furigana: コウモリが地じ面めんに落おちて、イタチに捕つかまってしまいました。 殺ころされるに決きまっていると思おもったコウモリは、 「どうか、命いのちだけは助たすけてください」と、頼たのみました。 イタチは、「ダメだね。あんたを放はなすわけにはいかないよ。 なぜって、私わたしは生うまれつき、鳥とりは全ぜん部ぶ敵てきだと思おもっているからね」 「おや、よく見みてください。私わたしは鳥とりではありません。ネズミですよ」 コウモリは翼つばさをたたむと、ネズミによく似にています。 こうしてコウモリは、うまく命いのち拾びろいしました。 しばらくして、このコウモリはまた地じ面めんに落おちて、 別べつのイタチに捕つかまってしまいました。 「お願ねがいです。私わたしを食くい殺ころさないでください」 「嫌いやだよ。私わたしはネズミというネズミが、全ぜん部ぶ嫌きらいだから」。 コウモリは、翼つばさを広ひろげると、 「おや、私わたしはネズミなんかではありませんよ。ほら、ご覧らんの通とおり、鳥とりですよ」 コウモリは、今こん度どもまた、放はなしてもらいました。 こうしてコウモリは、名な前まえを変かえることで二度にども命いのち拾びろいをしたのです。 このお話はなしのように、危き険けんをまぬがれるためには、 その時ときその時ときのなりゆきによって、色々いろいろと工く夫ふうすることが大切たいせつです。

Japanese Short Story 27

人間にんげんが初はじめて見みたラクダ 人間は、初めてラクダを見た時、「何と、大きな動物だろう」と、ビックリして、怖くてたまらず逃げてしまいました。しかし、しばらくしてラクダが大人しい性格の動物だと分かると、思い切ってそばへ寄ってみるようになりました。そのうちに、ラクダがちっとも怒らないことが分かると、人間はすっかりラクダをバカにして、手綱をつけて子供に引かせるようになってしまいました。このお話は、初めは恐ろしく思われたものでも、慣れると怖くなくなるということをたとえています。 Vocabulary List: With Furigana: 人間にんげんは、初はじめてラクダを見みた時とき、 「何なんと、大おおきな動物どうぶつだろう」と、 ビックリして、怖こわくてたまらず逃にげてしまいました。 しかし、しばらくしてラクダが大人おとなしい性格せいかくの動物どうぶつだと分わかると、 思おもい切きってそばへ寄よってみるようになりました。 そのうちに、ラクダがちっとも怒おこらないことが分わかると、 人間にんげんはすっかりラクダをバカにして、 手た綱づなをつけて子こ供どもに引ひかせるようになってしまいました。 このお話はなしは、初はじめは恐おそろしく思おもわれたものでも、 慣なれると怖こわくなくなるということをたとえています。

Japanese Short Story 26

北風きたかぜと太陽たいよう 北風と太陽が、どちらが強いかで言い争っていました。議論ばかりしていても決まらないので、それでは力だめしをして、旅人の着物を脱がせたほうが勝ちと決めよう、ということになりました。北風が、はじめにやりました。北風は思いきり強く、「ビューッ!」と、吹きつけました。旅人は震え上がって、着物をしっかり押さえました。そこで、北風は、いちだんと力を入れて、「ビュビューッ!」と、吹きつけました。すると、旅人は、「うーっ、寒い。これはたまらん。もう一枚着よう」と、今まで着ていた着物の上に、もう一枚重ねて着てしまいました。北風はがっかりして、「君に任せるよ」と、太陽に言いました。太陽はまずはじめに、ポカポカと暖かく照らしました。そして、旅人がさっき一枚余計に着た上着を脱ぐのを見ると、今度はもっと暑い、強い日差しを送りました。ジリジリと照りつける暑さに、旅人はたまらなくなって、着物を全部脱ぎ捨てると、近くの川へ水浴びにいきました。人に何かをしてもらうには、北風のように、無理やりではうまく行きません。太陽のように、相手の気持ちになって考えれば、無理をしなくても人はちゃんと動いてくれます。 Vocabulary List: With Furigana: 北風きたかぜと太陽たいようが、どちらが強つよいかで言いい争あらそっていました。 議ぎ論ろんばかりしていても決きまらないので、それでは力ちからだめしをして、 旅人たびびとの着き物ものを脱ぬがせたほうが勝かちと決きめよう、ということになりました。 北風きたかぜが、はじめにやりました。 北風きたかぜは思おもいきり強つよく、「ビューッ!」と、吹ふきつけました。 旅人たびびとは震ふるえ上あがって、着き物ものをしっかり押おさえました。 そこで、北風きたかぜは、いちだんと力ちからを入いれて、「ビュビューッ!」と、吹ふきつけました。 すると、旅人たびびとは、 「うーっ、寒さむい。これはたまらん。もう一枚いちまい着きよう」 と、今いままで着きていた着き物ものの上うえに、 もう一枚いちまい重かさねて着きてしまいました。 北風きたかぜはがっかりして、「君きみに任まかせるよ」 と、太陽たいように言いいました。 太陽たいようはまずはじめに、ポカポカと暖あたたかく照てらしました。 そして、旅人たびびとがさっき一枚いちまい余よ計けいに着きた上うわ着ぎを脱ぬぐのを見みると、 今こん度どはもっと暑あつい、強つよい日差ひざしを送おくりました。 ジリジリと照てりつける暑あつさに、旅人たびびとはたまらなくなって、 着き物ものを全ぜん部ぶ脱ぬぎ捨すてると、近ちかくの川かわへ水みず浴あびにいきました。 人ひとに何なにかをしてもらうには、北風きたかぜのように、無理むりやりではうまく行いきません。 太陽たいようのように、相あい手ての気持きもちになって考かんがえれば、 無理むりをしなくても人ひとはちゃんと動うごいてくれます。

Japanese Short Story 25

プロメテウスと人間にんげん プロメテウスの神は、ゼウスの命令を受けて、人間と動物をつくりました。ゼウスが見ていると、動物のほうが人間よりもずっとたくさんできました。それで、ゼウスは、プロメテウスに言いました。「動物が多すぎるから、動物の何匹かを、人間につくりなおしてはどうかね」プロメテウスは、そのとおりにしました。そのために、もともと人間につくられたのではない人間ができました。その人間たちは、外から見ると人間ですが、心は動物のままなのです。これは、動物のように乱暴な人に聞かせるお話です。 Vocabulary List: With Furigana: プロメテウスの神かみは、ゼウスの命令めいれいを受うけて、人間にんげんと動物どうぶつをつくりました。 ゼウスが見みていると、動物どうぶつのほうが人間にんげんよりもずっとたくさんできました。 それで、ゼウスは、プロメテウスに言いいました。 「動物どうぶつが多おおすぎるから、動物どうぶつの何匹なんびきかを、人間にんげんにつくりなおしてはどうかね」 プロメテウスは、そのとおりにしました。 そのために、もともと人間にんげんにつくられたのではない人間にんげんができました。 その人間にんげんたちは、外そとから見みると人間にんげんですが、心こころは動物どうぶつのままなのです。 これは、動物どうぶつのように乱暴らんぼうな人ひとに聞きかせるお話はなしです。