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Japanese Short Story 26

北風きたかぜ太陽たいよう


北風と太陽が、どちらが強いかで言い争っていました。
議論ばかりしていても決まらないので、それでは力だめしをして、
旅人の着物を脱がせたほうが勝ちと決めよう、ということになりました。
北風が、はじめにやりました。
北風は思いきり強く、「ビューッ!」と、吹きつけました。
旅人は震え上がって、着物をしっかり押さえました。
そこで、北風は、いちだんと力を入れて、
「ビュビューッ!」と、吹きつけました。
すると、旅人は、
「うーっ、寒い。これはたまらん。もう一枚着よう」
と、今まで着ていた着物の上に、
もう一枚重ねて着てしまいました。
北風はがっかりして、「君に任せるよ」と、太陽に言いました。
太陽はまずはじめに、ポカポカと暖かく照らしました。
そして、旅人がさっき一枚余計に着た上着を脱ぐのを見ると、
今度はもっと暑い、強い日差しを送りました。
ジリジリと照りつける暑さに、旅人はたまらなくなって、
着物を全部脱ぎ捨てると、近くの川へ水浴びにいきました。
人に何かをしてもらうには、北風のように、無理やりではうまく行きません。
太陽のように、相手の気持ちになって考えれば、
無理をしなくても人はちゃんと動いてくれます。

Vocabulary List:

WordReadingMeaning
北風きたかぜnorth wind
太陽たいようsun
どちらどちらwhich
強いつよいstrong
言い争ういいあらそうto argue
議論ぎろんdiscussion
ばかりばかりjust
決まるきまるto be decided
力だめしちからだめしtrial of strength
旅人たびびとtraveller
着物きものclothes
脱ぐぬぐto take off
勝ちかちwin
なるなるto become
はじめにはじめにat first
やるやるto do
思いきりおもいきりto the fullest
吹きつけるふきつけるto spray
震え上がるふるえあがるto tremble violently
しっかりしっかりtightly
押さえるおさえるto hold down
いちだんといちだんとmore
力を入れるちからをいれるto put effort
寒いさむいcold
たまらないたまらないunbearable
一枚いちまいone sheet
着るきるto wear
今までいままでuntil now
うえup
重ねるかさねるto stack
がっかりするがっかりするbe discouraged
きみyou
任せるまかせるto entrust
言ういうto say
まずまずfirst
暖かいあたたかいwarm
照らすてらすto illuminate
そしてそしてand
さっきさっきa while ago
余計よけいextra
上着うわぎouterwear
見るみるto see
今度こんどnext time
もっともっとmore
暑いあついhot
日差しひざしsunlight
送るおくるto send
ジリジリとジリジリとslowly
照りつけるてりつけるto shine
暑さあつさheat
全部ぜんぶall
脱ぎ捨てるぬぎすてるto take off
近くちかくnear
かわriver
水浴びみずあびbathing
ひとperson
何かなにかsomething
無理やりむりやりforcibly
うまく行くうまくいくworks well
相手あいてopponent
気持ちきもちfeelings
考えるかんがえるto think
無理をするむりをするto overdo
ちゃんとちゃんとproperly
動くうごくto move

With Furigana:

北風きたかぜ太陽たいようが、どちらがつよいかであらそっていました。

ろんばかりしていてもまらないので、それではちからだめしをして、

旅人たびびとものがせたほうがちとめよう、ということになりました。

北風きたかぜが、はじめにやりました。

北風きたかぜおもいきりつよく、「ビューッ!」と、きつけました。

旅人たびびとふるがって、ものをしっかりさえました。

そこで、北風きたかぜは、いちだんとちかられて、
「ビュビューッ!」と、きつけました。

すると、旅人たびびとは、

「うーっ、さむい。これはたまらん。もう一枚いちまいよう」

と、いままでていたものうえに、

もう一枚いちまいかさねててしまいました。

北風きたかぜはがっかりして、「きみまかせるよ」

と、太陽たいよういました。

太陽たいようはまずはじめに、ポカポカとあたたかくらしました。

そして、旅人たびびとがさっき一枚いちまいけいうわぐのをると、

こんはもっとあつい、つよ日差ひざしをおくりました。

ジリジリとりつけるあつさに、旅人たびびとはたまらなくなって、

ものぜんてると、ちかくのかわみずびにいきました。

ひとなにかをしてもらうには、北風きたかぜのように、無理むりやりではうまくきません。

太陽たいようのように、あい気持きもちになってかんがえれば、

無理むりをしなくてもひとはちゃんとうごいてくれます。

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