みにくいアヒルの子(3)
すると、体が浮くではありませんか。 「ああ、飛んだ、僕は飛べるようになったんだ。」 アヒルは夢中で羽ばたくと、やがてお堀に舞い降りました。 その時、お堀にいた白鳥たちが、いっせいに近づいてきたのです。 「ああ、みにくい僕を殺しにきたんだ。 僕は殺されるんだ。でも、かまわない。 みんなからひどい目に遭うより、あの美しい鳥に殺されたほうが、 いくらかましかもしれない。 さあ、僕を殺して! 」 アヒルの子は殺される覚悟を決めました。 しかし、そうではありません。 白鳥たちはアヒルの子のまわりに集まると、優しく、嘴で撫でてくれたのです。 そして、白鳥の一羽が言いました。 「初めまして、かわいい新人さん。」 「えっ、新人さん?かわいい?僕が?」 ビックリしたアヒルの子は、ふと水の上に目を落とすと、そこに映っていたのは、もうみにくいアヒルの子ではありません。 真っ白に光輝く、あの、白鳥だったのです。 冬の間に羽が抜け替わって、美しい白鳥に姿を変えていたのでした。 「新しい白鳥が、一番きれいだね。」 みんなの声が、聞こえてきました。 |
Vocabulary List:
Word | Reading | Meaning |
---|---|---|
みにくい | みにくい | ugly |
アヒル | アヒル | duck |
子 | こ | child |
すると | すると | then |
体 | からだ | body |
浮く | うく | to float |
飛ぶ | とぶ | to jump |
僕 | ぼく | I |
なる | なる | to become |
夢中 | むちゅう | crazy about |
羽ばたく | はばたく | to flap wings |
やがて | やがて | eventually |
お堀 | おほり | moat |
舞い降る | まいふる | to fall down |
その時 | そのとき | at that time |
いる | いる | there be |
白鳥 | はくちょう | swan |
いっせい | いっせい | together |
近づく | ちかづく | to get closer |
殺す | ころす | to kill |
でも | でも | but |
かまわない | かまわない | It doesn't matter |
みんな | みんな | everyone |
ひどい目に遭う | ひどいめにあう | to have a bad time |
美しい | うつくしい | beautiful |
鳥 | とり | bird |
いくらまし | いくらまし | better |
かもしれない | かもしれない | maybe |
さあ | さあ | here we go |
覚悟 | かくご | resolution |
決める | きめる | to decide |
しかし | しかし | however |
まわり | まわり | around |
集まる | あつまる | to get together |
優しい | やさしい | kind |
嘴 | くちばし | beak |
撫でる | なでる | to stroke |
そして | そして | and |
一羽 | いちわ | one |
言う | いう | to say |
初めまして | はじめまして | nice to meet you |
かわいい | かわいい | cute |
新人さん | しんじんさん | rookie |
ビックリする | ビックリする | be surprised |
ふと | ふと | suddenly |
水 | みず | water |
上 | うえ | up |
目を落とす | めをおとす | cast one's eyes down |
そこ | そこ | there |
映る | うつる | be reflected |
もう | もう | already |
真っ白 | まっしろ | pure white |
光輝く | ひかりかがやく | to shine |
あの | あの | that |
冬 | ふゆ | winter |
間 | あいだ | while |
羽 | はね | wing |
抜け替わる | ぬけかわる | to switch out |
姿 | すがた | appearance |
変える | かえる | to change |
新しい | あたらしい | new |
一番 | いちばん | the most |
きれい | きれい | beautiful |
声 | こえ | voice |
聞こえる | きこえる | to be able to hear |
With Furigana:
すると、体が浮くではありませんか。 「ああ、飛んだ、僕は飛べるようになったんだ。」 アヒルは夢中で羽ばたくと、やがてお堀に舞い降りました。 その時、お堀にいた白鳥たちが、いっせいに近づいてきたのです。 「ああ、みにくい僕を殺しにきたんだ。 僕は殺されるんだ。 でも、かまわない。 みんなからひどい目に遭うより、あの美しい鳥に殺されたほうが、 いくらかましかもしれない。 さあ、僕を殺して! 」 アヒルの子は殺される覚悟を決めました。 しかし、そうではありません。 白鳥たちはアヒルの子のまわりに集まると、優しく、嘴で撫でてくれたのです。 そして、白鳥の一羽が言いました。 「初めまして、かわいい新人さん。」 「えっ、新人さん?かわいい?僕が?」 ビックリしたアヒルの子は、ふと水の上に目を落とすと、そこに映っていたのは、もうみにくいアヒルの子ではありません。 真っ白に光輝く、あの、白鳥だったのです。 冬の間に羽が抜け替わって、美しい白鳥に姿を変えていたのでした。 「新しい白鳥が、一番きれいだね。」 みんなの声が、聞こえてきました。 |