人魚姫(3)
| 人魚姫はションボリして城に帰ってきましたが、どうしても王子のことが忘れられません。 そこで、魔女の所へ出掛けると、人間の女にしてくれるよう頼みました。 魔女は願いを聞くと、こう答えました。 「私の力を持ってすれば、人魚のしっぽを人間のような足に変えることはできるよ。 でも、そのかわりに足は歩くたびにナイフを踏むように痛むよ。 それと、もしお前が王子と結婚できなかったら、二度と人魚には戻れない。 いや、それどころか、心臓が破れて、海の泡になっちまうんだ。 それでもいいね。」 「いいわ、王子様と一緒にいられるのなら。」 「それから、願いを叶える褒美に、お前の声をもらうよ。 お前の声は、海の世界で一番美しいと評判だからね。」 「いいわ。」 そして人魚姫は、口のきけない身となって人間の世界へ戻り、王子の城を訪ねました。 王子は人魚姫を一目見て気に入り、妹のように可愛がりました。 しかし、王子の心は、命の恩人と思い込んでいる、あの浜辺で会った娘に奪われていたのです。 やがて王子と娘は、結婚式を挙げることになりました。 二人は船に乗り込むと、新婚旅行に向かいます。 王子と結婚できなかった姫は、次の日の朝、海の泡になってしまうのです。 |
Vocabulary List:
| Word | Reading | Meaning |
|---|---|---|
| 人魚 | にんぎょ | mermaid |
| 姫 | ひめ | princess |
| ションボリする | ションボリする | be miserable |
| 城 | しろ | castle |
| 帰る | かえる | to go home |
| どうしても | どうしても | no matter how |
| 王子 | おうじ | prince |
| こと | こと | thing |
| 忘れる | わすれる | to forget |
| そこで | そこで | therefore |
| 魔女 | まじょ | witch |
| 所 | ところ | place |
| 出掛ける | でかける | to go out |
| 人間 | にんげん | human |
| 女 | おんな | woman |
| 頼む | たのむ | to ask |
| 願い | ねがい | wish |
| 聞く | きく | to listen |
| 答える | こたえる | to answer |
| 私 | わたし | I |
| 力 | ちから | power |
| 持つ | もつ | to have |
| しっぽ | しっぽ | tail |
| 足 | あし | leg |
| 変える | かえる | to change |
| でも | でも | but |
| そのかわりに | そのかわりに | instead |
| 歩く | あるく | to walk |
| たびに | たびに | every time |
| ナイフ | ナイフ | knife |
| 踏む | ふむ | to step on |
| 痛む | いたむ | to hurt |
| それと | それと | and |
| もし | もし | if |
| お前 | おまえ | you |
| 結婚する | けっこんする | to get married |
| 二度と | 二どと | never again |
| 戻る | もどる | to return |
| いや | いや | no |
| それどころか | それどころか | on the contrary |
| 心臓 | しんぞう | heart |
| 破れる | やぶれる | to tear |
| 海 | うみ | sea |
| 泡 | あわ | foam |
| なる | なる | to become |
| いい | いい | good |
| 一緒に | いっしょに | together |
| いる | いる | there be |
| 叶える | かなえる | to come true |
| 褒美 | ほうび | reward |
| 声 | こえ | voice |
| もらう | もらう | to get |
| 世界 | せかい | world |
| 一番 | いちばん | most |
| 美しい | うつくしい | beautiful |
| 評判 | ひょうばん | reputation |
| 口のきけない | くちのきけない | can't speak |
| 身 | み | body |
| 訪ねる | たずねる | to visit |
| 一目 | ひとめ | a glance |
| 見る | みる | to see |
| 気に入る | きにいる | to like |
| 妹 | いもうと | sister |
| 可愛がる | かわいがる | to love |
| しかし | しかし | however |
| 心 | こころ | heart |
| 命 | いのち | life |
| 恩人 | おんじん | benefactor |
| 思い込む | おもいこむ | to believe |
| 浜辺 | はまべ | beach |
| 会う | あう | to meet |
| 娘 | むすめ | girl |
| 奪う | うばう | to take away |
| やがて | やがて | eventually |
| 結婚式 | けっこんしき | wedding |
| 挙げる | あげる | to hold |
| 二人 | ふたり | two people |
| 船 | ふね | ship |
| 乗り込む | のりこむ | to get in |
| 新婚 | しんこん | just married |
| 旅行 | りょこう | travel |
| 向かう | むかう | to head |
| 次の日 | つぎのひ | next day |
| 朝 | あさ | morning |
With Furigana:
| 人魚姫はションボリして城に帰ってきましたが、どうしても王子のことが忘れられません。 そこで、魔女の所へ出掛けると、人間の女にしてくれるよう頼みました。 魔女は願いを聞くと、こう答えました。 「私の力を持ってすれば、人魚のしっぽを人間のような足に変えることはできるよ。 でも、そのかわりに足は歩くたびにナイフを踏むように痛むよ。 それと、もしお前が王子と結婚できなかったら、二度と人魚には戻れない。 いや、それどころか、心臓が破れて、海の泡になっちまうんだ。 それでもいいね。」 「いいわ、王子様と一緒にいられるのなら。」 「それから、願いを叶える褒美に、お前の声をもらうよ。 お前の声は、海の世界で一番美しいと評判だからね。」 「いいわ。」 そして人魚姫は、口のきけない身となって人間の世界へ戻り、王子の城を訪ねました。 王子は人魚姫を一目見て気に入り、妹のように可愛がりました。 しかし、王子の心は、命の恩人と思い込んでいる、あの浜辺で会った娘に奪われていたのです。 やがて王子と娘は、結婚式を挙げることになりました。 二人は船に乗り込むと、新婚旅行に向かいます。 王子と結婚できなかった姫は、次の日の朝、海の泡になってしまうのです。 |