マッチ売りの少女(3)
少女はまたマッチを擦ってみました。 辺りは、ぱあーっと明るくなり、光が壁を照らすと、まるで部屋の中にいるような気持ちになりました。 部屋の中のテーブルには、ごちそうが並んでいます。 不思議なことに、湯気を立てた、がちょうの丸焼きが、少女のほうへ近づいて来るのです。 「うわっ、美味しそう。」 そのとき、すうっとマッチの火が消え、ごちそうも部屋も、あっという間になくなってしまいました。 少女はがっかりして、もう一度マッチを擦りました。 するとどうでしょう。 光の中に、大きなクリスマスツリーが浮かび上がっていました。 枝には数えきれないくらい、たくさんの蝋燭が輝いています。 思わず少女が近づくと、ツリーはふわっとなくなってしまいました。 また、マッチの火が消えたのです。 けれども、蝋燭の光は消えずに、ゆっくりと、空高くのぼっていきました。 そしてそれが、次々に星になったのです。 やがてその星の一つが、長い光の尾を引いて落ちてきました。 「あっ、今、誰かが死んだんだわ」 少女は、死んだおばあさんの言葉を覚えていました。 星が一つ落ちる時、一つの魂が神様のところへのぼっていくんだよ。 |
Vocabulary List:
Word | Reading | Meaning |
---|---|---|
マッチ | マッチ | match |
売る | うる | to sell |
少女 | しょうじょ | girl |
また | また | again |
擦る | する | to rub |
辺り | あたり | around |
明るい | あかるい | bright |
なる | なる | to become |
光 | ひかり | light |
壁 | かべ | wall |
照らす | てらす | to illuminate |
まるで | まるで | as if |
部屋 | へや | room |
中 | なか | in ~ |
いる | いる | there be |
気持ち | きもち | feelings |
テーブル | テーブル | table |
ごちそう | ごちそう | feast |
並ぶ | ならぶ | to line up |
不思議 | ふしぎ | strange |
こと | こと | thing |
湯気 | ゆげ | steam |
立てる | たてる | to raise |
がちょう | がちょう | goose |
丸焼き | まるやき | roasted |
ほう | ほう | position |
近づく | ちかづく | to get closer |
来る | くる | to come |
美味しい | おいしい | delicious |
火 | ひ | fire |
消える | きえる | to disappear |
あっという間に | あっというまに | in no time |
なくなる | なくなる | to disappear |
がっかりする | がっかりする | be discouraged |
もう一度 | もういちど | once again |
すると | すると | then |
どうでしょう | どうでしょう | how about |
大き | おおき | big |
クリスマス | クリスマス | Christmas |
ツリー | ツリー | tree |
浮かび上がる | うかびあがる | to emerge |
枝 | えだ | branch |
数えきれない | かぞえきれない | countless |
たくさん | たくさん | lots of |
蝋燭 | ろうそく | candle |
輝く | かがやく | to shine |
思わず | おもわず | involuntarily |
けれども | けれども | but |
ゆっくりと | ゆっくりと | slowly |
空高い | そらたかい | high in the sky |
のぼる | のぼる | to go up |
そして | そして | and |
次々に | つぎつぎに | one after another |
星 | ほし | star |
やがて | やがて | eventually |
一つ | ひとつ | one |
長い | ながい | long |
尾 | お | tail |
引く | ひく | to pull |
落ちる | おちる | to drop down |
今 | いま | now |
誰 | だれ | who |
死ぬ | しぬ | to die |
おばあさん | おばあさん | grandmother |
言葉 | ことば | word |
覚える | おぼえる | to remember |
時 | とき | when |
魂 | たましい | soul |
神様 | かみさま | god |
ところ | ところ | place |
With Furigana:
少女はまたマッチを擦ってみました。 辺りは、ぱあーっと明るくなり、光が壁を照らすと、まるで部屋の中にいるような気持ちになりました。 部屋の中のテーブルには、ごちそうが並んでいます。 不思議なことに、湯気を立てた、がちょうの丸焼きが、少女のほうへ近づいて来るのです。 「うわっ、美味しそう。」 そのとき、すうっとマッチの火が消え、ごちそうも部屋も、あっという間になくなってしまいました。 少女はがっかりして、もう一度マッチを擦りました。 するとどうでしょう。光の中に、大きなクリスマスツリーが浮かび上がっていました。 枝には数えきれないくらい、たくさんの蝋燭が輝いています。 思わず少女が近づくと、ツリーはふわっとなくなってしまいました。 また、マッチの火が消えたのです。 けれども、蝋燭の光は消えずに、ゆっくりと、空高くのぼっていきました。 そしてそれが、次々に星になったのです。 やがてその星の一つが、長い光の尾を引いて落ちてきました。 「あっ、今、誰かが死んだんだわ」 少女は、死んだおばあさんの言葉を覚えていました。 星が一つ落ちる時、一つの魂が神様のところへのぼっていくんだよ。 |